
青森県津軽地方の南端に位置する大鰐町は、豊かな自然と緑に恵まれ、古い伝統が今に伝わる街です。県都青森市から約50キロ。北~西側は弘前市、東側は平川市、南側は秋田県に接しています。温泉街として栄えた大鰐の湯は円智上人により建久年間(1190年から1198年)に発見されたと伝わっています。江戸時代には津軽藩の湯治場として津軽氏の歴代藩主も訪れ、御仮屋と呼ばれる館が設置されました。また江戸時代には津軽地方の人々の療養の場として広く利用されました。青森と日本海沿岸の各地域を結ぶ街道上にあった大鰐は宿場町として発展し、とくに鉄道が開通した明治後期から大正、昭和初期にかけて最も賑わいを見せていたと言われています。
街を散策すると、そんな時代の名残があちらこちらに見受けられます。大鰐の昔を現代に伝える史跡や名勝はもちろん、昭和レトロな雰囲気をかもし出す建物が点在する大鰐の街並みを散策してみませんか。
湯治客のための宿として、明治時代の津軽地方には「客舎」と呼ばれるものが点在していました。湯治のために安価に長期滞在できる宿のことで、洗面所等は共用、自炊ができる設備などが整えられていました。最盛期には大鰐に30軒を超える客舎があったそうですが、湯治という慣習が廃れていくと共にその姿を消していきました。大鰐にはこの「客舎」の看板を掲げる宿が1軒現存しています。(※現在、宿泊はおこなっておりません。)この久七温泉客舎では、昔ながらの湯治を体験可能です。客舎内の温泉に浸かるもよし、ふらりと街に出て公衆浴場を愉しむのも良いでしょう。